不妊治療の最初のステップである「タイミング指導」を経験して、夫婦の間で不妊治療に対する温度差があることに気づきました。
これは決して私たち夫婦だけが感じるものではなく、多くの夫婦が乗り越えなくてはいけない壁でもあります。
夫と妻で不妊治療に対してどんな思いを抱くのか?考え方の違いや不満などリアルな気持ちを伝えていきたいと思います。
タイミング指導とはどんなことを行うの?
赤ちゃんを望む夫婦が病院を受診すると、多くの場合タイミング指導からスタートすることになります。
同時に不妊の原因を見つけるために夫婦共に不妊検査をいくつか受けますが、検査の結果によっては人工授精、体外受精とタイミング指導をせずにステップアップした治療を受ける場合もあります。
不妊治療のファーストステップとしてのタイミング指導とは、最も妊娠しやすい日である排卵日をより正確に予測し、排卵日に合わせて夫婦生活のタイミングをとるということが目的です。
タイミング指導は、夫婦生活の時期を指導するということなので、ほぼ自然妊娠だと言って良いでしょう。
ただし、排卵しにくい体質の女性や卵子の成長が望ましくない場合には排卵誘発剤などの薬の投与がある場合もあります。
医師の考え方や年齢にもよりますが、半年程度を目安にタイミングをみていきます。
私たち夫婦の妊活に対する思い
私たち夫婦は、避妊をやめればすぐに妊娠出来るだろうという軽い気持ちでした。
多くの夫婦は最初この気持ちを持っていると思います。
3カ月、半年、1年、時間がすぎるにつれてなぜ妊娠しないのだろうという不安の気持ちを抱くようになります。
夫も私も、早く赤ちゃんが欲しいなという気持ちは同じでした。
しかし、“妊活”に対する思いは温度差があることに気が付きました。
病院に必死に通うのは妻側
排卵日の予測をする為には、毎月何度か病院へ足を運ばなくてはいけません。
排卵日であろう日から3日~5日前くらいから通いだします。多い時だと4・5回通院した月もありました。専業主婦であれば病院に通う時間も融通が利くと思います。
当時私はフルタイムで働いていましたし、少人数の職場でしたので簡単に休みをとれるような状態ではありませんでした。
夕方まで働き、仕事が終わったら急いで産婦人科に走ります。
急な残業が入ったとしても、なんとか受付時間内に入らなくてはいけません。
月に一度の排卵日を絶対に逃すまいと、とにかく必死でした。
理想的な夫婦生活のタイミングとは
医師からのタイミング指導は、排卵日が近付いて来たら基礎体温が高温期に入るまで、最低1日おきに夫婦生活をとって欲しいというものでした。
いつ排卵が起きたとしても、1日おきに夫婦生活を行っておけばカバー出来るのです。
しかし、夫婦共働きで義務的な夫婦生活は本当に大変でした。
大変というよりも、ストレスに感じることも多くあったというのが本音です。
タイミング指導中の思い
タイミング指導を受けながらの妊活は、夫婦お互いの妊活に対する気持ちの温度差と考え方に大きな相違があることを突き付けられた瞬間でした。
妻側、夫側、双方が抱く素直な気持ちを吐きだしていきますね。
妻側
個人差はあるかと思いますが、夫よりも妻の方が妊活への力の入れようは大きいと思います。
私もそうでしたが、子どもが欲しいと思ってからは、24時間どうしたら妊娠出来るのか、ひたすらそんなことを考えていました。
暇があればスマホで妊活についての情報収集です。
毎日の基礎体温は欠かさず測り、基礎体温のグラフに伴ってその日の気分も浮き沈みしているほどでした。
排卵日が近くなれば病院へせっせと通います。
仕事も家事もしなくてはいけないとは思っていても、月に一度の排卵日の予測が最優先事項です。
タイミング指導の際には、夫婦生活をいかに数多く行えるかということが重要ポイントです。
もはや自然な流れの夫婦生活なんて皆無の状態で、とにかく数多く打て戦法と言ってもいいほどです。
タイミングをとにかく取らねばと必死になると、夫への気遣いなんてものはありません。
“そろそろ排卵日、タイミングです”とラインを入れる事なんて何のそのです。
夫の帰りが遅かったり、飲んで帰ってくると正直イライラしました。
なぜ排卵日付近と連絡したのにすんなり帰ってこないのか、もしも、排卵を逃してしまったらどうするつもりなのか。
この思いが夫へのプレッシャーになっていました。
私自身もこのような行動はするべきではないなと感じていました。
けれども、それ以上に妊娠したいという気持ちが強すぎて、周りが見えなくなっていたのだと思います。
夫側
私の夫は、妊活中に一緒に病院で診察を受けたことがありませんでした。
そもそも、病院でのタイミング指導自体にあまりいい気持ちではないようで、そこまで焦らなくても良いのではという思いが非常に強かったのです。
ただ、私が一人で必死に通う分には文句も言わず、排卵のタイミングを伝えると協力はしてくれました。
しかし、男性というものはプレッシャーに非常にストレスを感じるものです。
タイミング指導中に、なんども不満を打ち明けられたことがありました。
- そんなに焦らなくてもきっといつかは妊娠出来るよ
- 排卵日ということを露骨にしてほしくない
- 絶対に夫婦生活のタイミングは今日でないとだめなのか?
- 妊活の話ばかり聞きたくない
こんな気持ちを夫は抱えていたのです。
妊活への温度差を埋めるために出来ること
夫婦一丸となって一生懸命妊活に取り組む姿勢がある人たちもいます。
一方、私たち夫婦の様に妊活への温度差があるような夫婦もたくさんいるのではないでしょうか。
妊活への温度差を埋めるためには、夫婦揃って病院へ行ってみるということが大切だと思います。
タイミング指導以前に、不妊治療は基本妻側がメインで通院する必要があります。
病院によっては、体外受精になるまで夫は一度も病院へ出向かなくても良い場合もあるのです。
なぜこれまで妊娠に至らなかったのか、どうしたら妊娠しやすいコンディションを維持できるのか?どんな治療法があって、どんな努力をしたらよいのか?
このような話を医師から聞くのは妻側だけになってしまいます。
こんな状態を打破するためには、可能であれば初診の段階で一度一緒に診察を受けると良いと思います。
医師から直接話を聞くだけでも、受け止め方が全然違いますからね。
夫婦間の温度差は話題を共有することで縮められる
私たち夫婦の間で妊活への温度差は、最終的に少しだけ縮めることが出来ました。
考え方を全く同じ温度まで持っていくことは残念ながら無理でしたが、それでもお互いに抱いていた不満は軽減出来たのかなと思います。
妻は強制しない程度に夫に思いを伝える、夫も理解しようとする姿勢を心がける。
このバランスが妊活をストレスなく続けられるポイントなのかもしれませんよ。