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妊活という長いトンネルを抜けて

私には、現在5歳になる息子が1人います。毎日学校に通い、それはもうヤンチャで可愛い盛りです。

無邪気にはしゃいでいる息子を見ていると、もうここにいて当たり前の存在になっていて、この子が私のお腹に宿ってくれるまでに何があったのか、私たち夫婦がどんな思いをしてきたのか、ふと忘れてしまう時もあります。

けれど、私たちが母親、父親になり今こんなに幸せを感じられるのは、心身共に辛く長い約3年の妊活期間があったからこそだと思っています。

幸せな時間と予期せぬ絶望

周りに妊婦さんが増え、赤ちゃんを産んだ友達が多くなった頃、私たちもそろそろ赤ちゃんが欲しいと思い、子作りをスタートさせました。

当時の私は32歳になったばかりでした。

避妊をせずに行えばすぐに普通に妊娠すると思っていたので、1ヶ月目、2ヶ月目と妊娠出来なかったことに少々疑問を感じていました。

3ヶ月目、4ヶ月目も生理が来てしまい、上手くいかずに何だかとても焦ったのを覚えています。

ここで私は先輩ママに自身の体験と、アドバイスを求め、すぐには妊娠出来ないこともあるという現実を知りました。

排卵時期を予想し、より良いタイミングで妊娠出来るよう排卵検査薬が存在することも教えてもらい、それからはその排卵検査薬を使ってタイミングをみていましたが、次の月もまたその次の月も妊娠は出来ませんでした。

この時私は、まだ妊活をしているという意識は全く無く、ただただ早く妊娠したい!とだけ毎日思っていた気がします。

そして、リセットして頑張り、リセットしてまた頑張りと半年が過ぎた頃、

妊娠検査薬にようやく待望の陽性反応が現れました!それはそれは本当に嬉しかったのを覚えています。

ついに妊娠し、お腹の中に新しい命が宿っているという感覚は、言葉に出来ないくらい幸せでした。

初めてのエコー、赤ちゃんとの対面…女として生まれてきて1番幸せな瞬間で、私の中にある母性がどんどん大きくなっていく日々でした。

しかし残念なことに、そんな幸せ絶頂の日々も長く続かず、妊娠8週目あたりで私は第一子を流産してしまったのです。稽留流産でした。

あんなに幸せだったのに、一気に奈落の底へと突き落とされ、その悲しみは尋常では無く、どれくらい泣いたのか覚えていないくらいです。

人生で1番嬉しかった瞬間が人生で1番辛い日々へと変わり、私は絶望の中なんとか生きていました。

本格的な妊活のスタート

流産の悲しみを乗り越えて数ヶ月後、私たちの本当の意味での妊活がスタートしました。私が33歳になった春のことです。

妊娠に関し知識を付け、出来るだけ健康な物を食べて、適度に運動をして、タイミングをとる事をしていましたが、

やはり1年経っても妊娠は出来ず、毎月生理が来るたびにがっかりしてとても悲しい思いをしていました。

流産の影響で、街中で子どもを見るのが辛く、子ども連れの家族を羨ましく思ったり、気持ち的には本当にネガティヴでした。

知人、友人の妊娠、出産にも素直に喜べず、嫉妬のような感情ばかり抱えて焦っていたのを思い出します。

とにかく妊娠したい一心で、今振り返ると、妊娠する事がゴールになってしまっていました。

妊娠の先にある妊婦生活、出産、子育てまでちゃんと視野に入れられずに、目先のゴールをただひたすら目指す毎日。

頭の中は常に妊活で一杯で、楽しい事より辛い事の方が多かったと思います。

そんながむしゃらな1年を過ごしていた時、偶然の出会いにより私の妊活に転機が訪れたのです。

東洋医学との出会い

妊活を始めてから約1年、妊娠出来ないストレスと、多忙な仕事へのストレスで34歳の私は心身ともにもう限界だったのでしょう。

滅多に熱を出さない私が、2ヶ月立て続けに高熱を出してしまいました。重症の扁桃炎にもなってしまい、身体は最悪の状態に。

ずっと寝たきりだったりと、本当にしんどい思いをしました。

そんな状態から回復後、前から痛かった左肩の治療に、私はある鍼灸院を訪ねました。

妊活とは全く関係無く、あくまでも肩を治してもらう目的で行ったのに、そこで私はとても良い先生に巡り会う事が出来たのです。

そして鍼灸治療を通じ、私の身体がいかに限界状態だったかを知らされました。

肩だけでなく、身体全体のバランスや気の流れが相当悪く、ひどい冷え症だったそうです。

過去の流産や、妊活をしている事も正直にお話しすると先生は、母体がこんなに無理をしているんだから妊娠出来ないのも当然でしょう。とおっしゃりました。

それを聞いた瞬間、身体に雷が落ちたような衝撃を感じ、「そうか、こんな状態だから赤ちゃんは来てくれないんだ。流産したのも、私の身体が赤ちゃんを迎え入れる状態ではなかったからなんだ。」と思い、まずは自分の身体と心を大切にして、また赤ちゃんが宿ってくれる母体にしようと心に決めたのです。

ポジティブな妊活の結果

それからは、肩の治療と同時に、妊娠しやすい身体になるよう鍼灸治療を開始しました。

必要であればマッサージもしてもらい、とにかく身体をリラックス状態に、そして下半身をとことん温めるよう努めました。

女性にとって下半身の冷えは本当に大敵です!身体が冷えていては何も良い事はありません。(赤ちゃんが逆子になってしまうのは、寒いお腹の中が嫌で温かい場所を探しに頭を母体の上半身へと向けるからだそうです。)

冷え防止にカイロをお腹と腰(仙骨あたり)と足裏に貼り、いつでも靴下を履き、冷たい物を極力控え、身体を温める物を摂取し、婦人科系のツボに毎晩お灸をすること数ヶ月…。

すると不思議な事に、あんなに酷かった生理痛が段々と無くなり、身体の調子もかなり改善されたのです。

無理をせず、自分が心地良いと思う事でがむしゃら感は抜け、ポジティブに前向きに自身の身体と向き合う事が出来ました。

身体同様に、私の心も赤ちゃんを迎える準備が整っていたのだと思います。

そしてその結果、35歳になってすぐ息子を授かる事が出来ました。

約3年の長い長い妊活がやっと終了したのです。

結婚をして、数年後に赤ちゃんが出来てママになる。

30歳を過ぎて妊娠を意識するまで、それがごく普通に起こる事で、「当たり前」だと思っていました。

妊活を体験しなければ、妊娠、出産は決して「当たり前」では無く、無時に妊娠、出産が出来るのは『奇跡』でしかないと、学ぶ事は出来ませんでした。

妊活は長く、心身ともにとても辛いです。辛くて辛くて何度も諦めたくなります。

けれど、諦めずにポジティブに努力をしていけば、長い妊活トンネルの先に必ず奇跡が待っていると私は信じていました。

妊活体験をお話しする事しか出来ませんが、今妊活中のみなさまに奇跡が訪れますよう心から願っています。

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