約1年半の不妊治療の末、私は40歳にして第一子を妊娠することが出来ましたが、その治療期間(妊活)は、苦労の連続でした。
不妊治療は、出口の見えない治療と言われています。その一番の大きな理由に、必ず妊娠できるという保証がないからです。何度、高額の治療費を払って、高度医療の治療を受けても、妊娠が出来ないと、一体どうしたら妊娠できるんだろうと、不安や怒りで、心が一杯になってしまうのです。しかし、子どもが欲しいから治療を受けているわけで、なかなか諦めることが出来ないのです。
最近では20代の若い子でも、不妊治療をしている女性がいます。不妊治療をしている女性は、病院に通っておらず、自己流で排卵日を測定して妊活を行っている女性より、1回1回の排卵日に、大きな期待と不安を持って、妊活に励みます。その強い思いが、ストレスとなり、妊活には良くないとされているのですが、やはり高額な費用を払っている不妊患者にとっては、仕方がないことなのかもしれません。
私の場合は、高齢ということもあり、なかなか妊娠できないことは、重々承知でしたが、それでも、妊娠していないことが分かると、落ち込まずにはいられませんでした。そんな中、私より後に結婚した同じ歳の3人の友人が、立て続けに妊娠をしたという報告を受けました。しかも自然妊娠です。
私は、お金を払って、痛い思いをして治療しているのに、子どもが出来ない。でも、彼女たちは、何の問題もなく、すんなりと妊娠することが出来た。どうしてなの?
もちろん、同じ年齢とはいえ、一人一人違うわけですから、彼女たちが妊娠できても、私が妊娠できないことは、当然なのですが・・・正直とても悔しかったです。
妊活中、辛いことはたくさんありましたが、その中でも最も辛かったのは、自分が妊娠できないのに、知り合いが、どんどん妊娠してしまうことでした。そして、そのおめでたい報告を、心の底から喜んであげられない自分にも、嫌気がさしました。
本来ならば、学生時代の友達が妊娠をしたのであれば、両手を上げて、喜んであげなければいけないのに、不妊治療中の私は、その報告すら聞きたくなかったのです。しかし、私の友達はそんな私の気持ちを理解してくれました。きっと、つわりがひどいときや、妊娠中不安なことなど、グループラインで、先輩ママに相談したかったんだろうと思いますが、私を気にして、一切そういう話題には触れませんでした。
次に辛かったのは、高い治療費、高額なサプリメント、鍼、整体など、色々お金をかけているのにも関わらず、採卵しても、思ったより多くの卵子が取れない。取れても受精しない。移植しても、着床してくれない。つまり、妊娠できないことが辛かったです。
どんな努力をしても、なかなか妊娠できない。妊娠しやすい食べ物、生活など、頭の中は常に「妊娠」のことばかり。ストレスは妊活の大敵。疲れているときは、少しは休憩したほうがいい。そうしているうちに、ポコッと妊娠することがある。と、不妊治療をしている人のブログや妊活の雑誌などには書いてありますが、39歳の高齢の私にとっては、1周期でも無駄にしたくない。すぐにでも妊娠したいんだという思いがあったため、妊活を休憩するという考えは、全くありませんでした。
体外受精(顕微授精)をしても妊娠していないことが分かると、休まずに次の治療に臨みました。妊活を休んでしまったら、私は妊娠できないんじゃないかと、不安になってしまうからでした。性格上そうなのですが、常に目標をもって走り続けていないと、不安でたまらないのです。主人もそれは理解してくれていたので、妊活をお休みするとか、あまり考えないほうがいいということは、一言も言いませんでした。
私にとって妊活は決して楽なものではなく、辛いものでしたが、その中でもいくつか乗り切る方法を、私自身で、見つけたこともあります。
頭の中は、常に「妊娠」「子どもができたら」と考えてばかりいましたが、いつの日からか、
「子どもはいつか必ず授かれる。だからそれまでは夫婦2人の生活を楽しもう」と思えるようになったのです。不妊治療を始めて、かなり早い段階でそれを思えるようになりました。そのきっかけは「年齢」です。
私より後に結婚した友達が、結婚と同時に自然妊娠していった。彼女らは30代で子どもを産むことができる。しかし、私は30代で出産をすることがもうできない。と分かったとき、
一人で大泣きをしましたが、大泣きをしてスッキリした後、もう何をどうしたって年齢は変えられないし、若くすることはできない。もう40代での出産は決定した。それなら40歳も41歳も変わらないじゃない。と気持ちを切り替えてから、少し楽になったのです。
不妊治療を始めて、半年ほどたったころです。
一日でも早く妊娠はしたいけど、高齢なんだし、私は冷え性だし、生理不順なんだから、すぐに子どもが出来なくて当たり前。そう開き直ることにしたのです。でも諦めることが出来ないから、妊娠できるためには何でもする。でも、できない。この繰り返しでした。
開き直って、気持ちを切り替えたと言っても、いつも穏やかな気持ちいられません。治療が思うように進まなかったり、妊娠できていないとわかると、落ち込んだり、不安になったり。でも、また頑張ろうと気持ちを奮い立たせる。この繰り返しでした。
そして次に私が、この辛い気持ちを乗り越えるために行ったことは、同じ辛い思いをしている人たちと繋がって、情報交換をしようと思ったのです。とある不妊サイトの掲示板に、仲間を集うことにすると、多くの人から一緒に頑張りたい、お友達になりたいという人たちから、返事がありました。最初はそのサイト内でのトークでつながるだけでしたが、次第にオフ会を開きたいという声も出てきました。
私の周りで、不妊治療をしている人がいなかったため、不妊治療の話題を主人以外の人と話をすることは、最初は少し抵抗がありましたが、一度話してみると、皆、出るわ出るわ、愚痴や不満。どうしたら妊娠できるのか。妊娠するために、どんなことをしているのか。
皆で情報交換することにより、励まし合いました。そして自宅に帰り、また明日から、不妊治療を頑張る。でも、辛いときには、主人以外の人から、励ましてもらえる。それが、私にとって、何より心強いものでした。
もちろん、不妊治療中、一番の支えになってくれたのは主人です。どんな私の不満も不安も愚痴も、何一つ文句を言わず受け止めてくれました。
でもやはり男性ですから、女性の身体のことは分からないのです。採卵の痛みは特にそうでした。ですから、私の場合、不妊治療仲間を作れたことは、とても大きな励みになりました。
不妊治療(妊活)は妊娠するまで続きます。治療を始めて、すぐに結果が出る人もいれば、私のように出ないで、苦しい思いをする人もいます。しかし、私はあきらめませんでした。
自分の身体と正直に向き合い、できることは何でもする。不妊仲間と愚痴を言い合い、励まし合う。そして、一番の支えになってくれる主人と一緒に頑張る。いつも心の中で、いつかできる子どもとの生活を夢みて、決してあきらめませんでした。
不妊治療で感じる辛さは、人それぞれですし、乗り越え方も人それぞれです。私の方法が決して正しいというわけではありません。ただ、どんなに辛くても、苦しくても、前を向いて頑張っていって欲しいと思います。いつかその自分の努力が報われることを信じて、妊活を続けていくことが、大切なのだと思います。