本格的に妊活を始めるまでが長い道のりでした
私たち夫婦は夫が31歳、私が25歳の時に結婚しました。
それからあっという間に時が経ち、ようやく第一子を授かることができたのは結婚から14年後のことでした。
とはいえ、14年間もずっと妊活に励んでいたわけではありません。
真面目に妊活に取り組んだのは、そのうちの3年くらいです。
じゃあそれ以外の11年間は一体何をしていたのかというと、一言でいえば「現実逃避」です。
私たち夫婦は、子どもがなかなか出来ない現実から、ずっと目を背けていたのです。
今、なんとか無事に子どもを授かることができてもちろん幸せなのですが、正直なところ高齢になってからの育児は本当にキツイです。
もっと早く現実と向き合って妊活に励んでいたら、体力に余裕があるうちに出産できたかもしれないと思うと子どもに対して申し訳ないなあと思ってしまいます。
ここでは、私たち夫婦が妊活に向かうまでの葛藤や反省点、妊活でどんなことを試して出産にこぎつけたのかを詳しくご紹介していこうと思います。
これから妊活を始めようと考えている方々に、少しでもお役に立てたらと嬉しいです。
妊活のスタートを阻んだものとは？
妊活を始めるには、まず病院に行って夫婦それぞれの生殖機能が正常かどうかを検査しなくてはいけませんが、たいていの場合夫婦のどちらかが嫌がります。
デリケートな問題をさらけ出す検査なので、進んでやりたい人はあまりいないですよね。
うちの夫も例外ではなく、仕事の忙しさなどを理由にして、なかなか病院に行ってくれませんでした。
無理やり連れていくわけにもいかないので、夫の気持ちが変わるまで待つしかなかったのですが、それだけであっという間に月日は流れていきました。
このままではマズいと思ったので、忘れた頃に「そろそろ病院行ってみない？」と誘ったら、ようやく検査を受けてくれました。
夫婦揃って検査を受けてみると夫の精子に問題があり、運動率や前進率の数値が正常よりもかなり低めでした。
一方で私もすでに35歳を過ぎていたので、卵子が老化している可能性があるため、この条件では自然妊娠は難しいという診断が下されました。
すぐに不妊治療の説明をされたのですが、治療内容と費用を聞いて愕然としてしまい、すぐに「やります！」とは言えませんでした。
世の中の人は何の苦労もせずに当たり前に子どもを産んでいるのに、私たちは何でわざわざお金をかけてまで辛いことをしなきゃいけないのか、どうしても納得できなかったのです。
それからしばらくの間、私たちは日常の忙しさにかまけてきちんと話し合うこともせず、この問題を放置してしまいました。
そのくせ、妊婦さんや赤ちゃんを連れているお母さんを見ると、羨ましくてたまりませんでした。
親戚同士が集まる時にも、うちだけ子どもがいなくていたたまれない気持ちになったり、芸能人の妊娠報告を聞くのが苦痛だったりと、どんどんマイナスの感情が増えていきました。
悩んでいる間にも月日は否応なしに過ぎていくので、焦りは募る一方でした。
悩みに悩んだあげく、私はやっぱり子どもを産みたいという結論に達しました。
勇気を出して夫に「不妊治療をやりたい」と提案したら、夫も同じことを思っていたようで「一緒に頑張ろう」と言ってくれました。
いよいよ妊活をスタートするも立ちはだかる壁！
うちの夫婦の場合、タイミング法や人工授精では難しいレベルなので、すぐに体外受精と顕微授精を始めるように勧められました。
でも費用が人工授精なら1回およそ2万円、体外受精なら1回30万円以上と大幅に違うので、まずは人工授精から試してみることにしました。
人工授精は自然妊娠に近い治療法ですし痛みや体への負担も少ないので、想像していたよりも辛い治療ではなかったです。
しかし何度繰り返してもリセット、生理が来るたびに本当に目の前が真っ暗になりました。
通常は人工授精を5回ほど試しても妊娠できなければ体外受精に移行するそうですが、1回の治療に30万円以上も支払う勇気がなかったので、先生に無理やりお願いしながら人工授精を繰り返すことなんと10回。
ついに「もうこれ以上人工授精をやっても意味がない」と先生から治療を断られてしまい、体外受精にステップアップせざるを得なくなりました。
体外受精は費用もさることながら、使用するホルモン剤の量が一気に増えますし、採卵という痛みを伴う治療を行わなくてはいけないので、人工授精とは比べ物にならないほど体への負担が大きくなります。
特に、自分のお腹に注射をしなければならなかったのが本当につらかったです。
朝と夜の1日2回、卵子をたくさん育てるためにホルモン剤をお腹に注射するのです。
医療従事者でもないのに、まさか注射器を扱うことになるなんて思いもしませんでした。
あとは採卵もかなりきつかったです。
卵巣に直接針を刺して卵子を吸い出すのですが、麻酔をしていても針が刺さった瞬間に重い生理痛のような痛みが走るのです。
何度も何度も針を刺すので、終わった後に卵巣が腫れ上がってしまいました。
しかもそこまで辛い思いをしたのに、採取できた卵子はどれも質が悪いものばかりで、受精卵には使えないと言われてしまったのです。
採卵をするまでにかかった労力と費用が一瞬でパーになり、またもや目の前が真っ暗になりました。
卵子の質を上げるための体質改善
何度採卵をしても卵子の質が悪ければ、またスタート地点に逆戻りしてしまいます。
それじゃあお金がいくらあっても足りないし、体は間違いなくボロボロになっていくことでしょう。
「このまま不妊治療だけに頼っていてはだめだ」と痛感した私は、卵子の質を高めるための体質改善を始めることにしました。
不妊に効果があるというツボを刺激してくれる鍼灸院やスポーツクラブに通い始め、時間がある時はとにかく歩いたり階段の上り下りをしたりなど、出来るだけ体を動かすようにしました。
それから、食後の血糖値の上昇を緩やかにするために白いうどんやパンなどの炭水化物を控えました。
全粒粉を使ったパスタやライ麦パンを積極的に食べたり、ザクロ酢やサプリメントを飲んだり。
他にも、体を冷やさないように常に腹巻を身に着け、足にはシルクの5本指靴下を重ね履きしたり、と、妊娠に役立ちそうなものはとにかく片っ端から試しました。
お金はそれなりにかかりましたが、1回30万円以上の体外受精に比べれば安く感じました。
あの頃はたぶん金銭感覚がおかしくなっていたと思います。
3度目の採卵でようやく！
そうして2度目の採卵ではなんとか1つだけ質の良い卵子を採取できましたが、受精がうまくいかずお腹に戻すことはできませんでした。
心が折れそうになりながらも、諦めずに体質改善に励みました。
そして3度目の採卵で、ようやく質の良い卵子を3つ採取することができました。
先生から体外受精よりも顕微授精をした方が、確率が良いと言われたので試したところ、3つのうちたった1つだけでしたが、無事に受精卵として成長してくれました。
3度目でようやく子宮に受精卵を移植するところまでたどり着き、あとは受精卵の生命力を信じて、神様にお祈りするしかありません。
妊娠判定の日は、まさに合格発表を見る受験生と同じ気分でした。
緊張しながら診察室に入ると、先生が差し出した小さな紙には「出産予定日」が書かれていました。
「おめでとうございます」と言われた時は、今までの人生で味わったことがないくらいの喜びと、同時に不安が入り混じった複雑な感情でした。
心の底から妊娠を望んでいたのにいざ妊娠できると、今度はちゃんと生まれてくれるのかどうか心配で、とても手放しで喜べるような気持ちにはなれなかったのだと思います。
夫に妊娠の報告をすると、やっぱり同じように一瞬喜んですぐに不安になっていました。
妊活は妊娠がゴールだと思っていたけど、出産するまで不安は尽きないし、出産したらしたでまた別の心配事が出てくるんですよね。
不安が尽きないのは仕方がないことだけど、自分の経験を通して不安要素を減らす方法はあるということが分かりました。
それは1日でも早く妊活を始めることです。
いずれ子どもが欲しいと思っているなら私たちのように先延ばしにせず、出来るだけ若いうちから始めた方が流産や障害のリスクを減らせるし子育てもぐんと楽になります。
私は40歳になる直前になってようやく母親になりましたが、もう一度生まれ変われるとしたら、今度は間違いなく20代で産みたいです。
妊活を始めようかどうか悩んでいる方は、ぜひ私みたいに時間を無駄にして後悔をしないように頑張ってほしいなと思います。