「妊活」というワードが最近になってよく耳にするようになりました。周りの関心が高くなり、患者自身がオープンに宣言できるようなとてもいい環境に近づいてきたと思います。
私は、今から8年前、2度に渡った妊活経験者です。1回目が約3年、2回目が約1年の計4年間の時間を不妊治療に費やしてきました。当時、私は公にすることもなく一人もがき苦しみ、悩みを打ち明け共感できる友もおらず、ストレスがどんどん溜まっていく一方でした。
妊活の一番とも言える天敵、それは「ストレス」です。実際、ストレスのない生活なんて到底無理なことです。ですが、少しでも妊娠を希望する女性にとってストレスが訪れない生活は理想です。
ホルモンのバランスによっては様々な現象が生じるとても敏感な女性のカラダは心と密接に結び付いています。ストレスを感じると、卵胞の育成などに関連する生殖ホルモン分泌を促す視床下部がうまく機能しなくなり、生殖ホルモンの分泌が後回しにされてしまいます。
そうなると、排卵障害を起こすような事態や、結果、生理不順を招き、タイミング法などの不妊治療を行っていたとしても、妊活を成功させることは難しいとも言えるでしょう。
妊活中に起きるストレスの原因を探る
毎月やって来る生理。妊娠を望む女性にとって、これ以上ない絶望感を味わいます。1か月のも間、こんなに頑張ってきたのに…。その努力は一瞬で泡となって消えてゆくのです。
すぐに気持ちを切り替えたいところですが、なかなかそうはいきません。また、周囲からの何気ない言葉が時に暴力の様なダメージを受け殻にこもってしまい、次第にストレスの原因になって来るのです。
妊活は経験した本人しかその痛みや苦しみはわかりません。ですが、少しでもそのストレスを払拭し、出来るだけ環境のよい子宮を作らなくてならない役目があるのです。
私の考えることは悲観的で全てにおいてマイナス思考、ストレスは常に満タンな状態でした。初めて不妊外来での診察時点ではヘビースモーカーである愛煙家でしたが、その数か月後にピタリと止めました。連日記憶がなくなるまで浴びるほどの酒豪ぶりでもありましたが、ほどほどに歯止めを利かせる生活に変えました。それは医師から「ここに来る以上、今のあなたの生活ぶりを聞いていて不妊外来に不適切である。本当に子どもを望むのであれば、気持ちを入れ替えてから再度通院された方がよいでしょう。」と匙を投げられたのです。
私は、出来る限りの努力と医師からの忠告やアドバイスは受け入れました。それはこれから親になるかもしれない自分にとってのけじめでもありました。ですが、そう長くは続かずに私の精神状態は限界に来ていました。
唯一のストレス解消は、糸目をつけないこと
私は、旅行が大好きでした。特に南国リゾート地では開放的になり、現実逃避できる唯一の瞬間でした。不妊治療だけでなくその他の生活においてもストレスは気づかずに溜まってしまいます。そんな時は思いっきり羽を伸ばしました。
欲しいものを買いあさり、食べたいものを食べまくる、行きたいところへは出来る限り足を運ぶ。不妊治療には、多額の費用がかかる中、なかなかそうはいきませんよね。ですが、欲望を我慢することによってストレスが生じるのです。究極の質問かもしれませんが、「お金と赤ちゃんどっちを取りますか?」そう聞かれた時、今必要なのは選ぶ余地もなく「赤ちゃん」だったのです。
これはあくまでも私のストレス解消法です。お金を使いまくったからと言って必ずしも赤ちゃんができるとは限りません。ですが、私の頑なに閉ざした心は、一瞬で溶けたのです。「また明日から頑張ろう!ダメだったらまたここへ来よう。その為には一生懸命働こう。」と希望と活力に変わっていったのです。
人には色々なストレス解消法があります。浪費をすることだけがストレス解消法という訳ではありません。その逆で、貯金をする事でストレスを発散できるという人もいます。毎月溜まっていく通帳の残高をみて至福のひと時をかみしめるといった、某芸能人のストレス解消法です。
趣味を極めたり、カラオケをしたり、何でもいいのです。自分にあったストレス解消法を見つけて思いっきり楽しむという事を心がけてください。結果がどうであれ、辛いことがあっても振り返った時、いい思い出でありたい、後悔したくないそう思ったのです。
実際のところ、全くストレスはなかったのかと言えば嘘になりますが、ここらでリフレッシュしないとといった限界を自分で学習し、上手く付き合っていたとは思います。
私の主治医は「一度お休みすることも大いなるリフレッシュですよ」と提案してくださいましたが、休む行為が私にとってのストレスとなるので、受け入れませんでしたが、それも一つの案でしょうね。
ストレスフリーな生活を振り返ってみて
妊活=不妊治療とは見えないゴールを目指し、計り知れない精神力との闘いです。時に挫折してしまう人もいるでしょう。最初から最後まで誰も助けてはくれないし、共に分かち合った妊活仲間が卒業していったりと精神的なダメージが大きいこの活動をどう乗り越えるかが今後の人生にも大きく関わってきます。
もっとも頼りにしている「夫」はと言うと、のんびり構えているのか、思ったほど積極的ではない傾向が多いですよね。そこに温度差を感じてしまい支えになるべきはずのよき理解者がだんだんと遠ざかっていくような錯覚に陥ります。
私はもうすぐ40代に差し掛かろうとしています。これまでの人生を振り返って、最も辛かった30代前半でしたが、この先二度と味わうことがないであろう贅沢をしました。今となってはいい思い出です。おかげで色んな意味ですっからかんですが…。でも、後悔どころか、貴重な経験のチャンスを与えてくれた妊活期間を体験でき、そして最後まで成し遂げて本当によかったと心から思います。
それぞれの想いを大切に、決して無駄ではない時間をまだ見ぬ我が子のために、出来る限りのベストを尽くしていって欲しいと願います。
これを読んで頂いて、一度自分と向き合いほんの少し前向きな妊活ライフを見いだせたら幸いです。