誰しも、結婚したら普通に子どもが出来るだろうと思うでしょう。すぐにはできなくても、
夫婦が仲良しで、時期が来れば、きっと子どもを授かることが出来るはずと・・・
しかし、私にはその考えは全くありませんでした。理由は3つあります。1つは、結婚する前から子宮筋腫を持っていたため、妊娠しにくいと、勝手に思っていました。
子宮筋腫があるとわかったのは、36歳の時。たまたま子宮頸がん検診で、産婦人科で受診した時に判明しました。ただ、子宮筋腫があるからと言って、必ずしも妊娠しづらいということはありませんが、勝手に妊娠しづらいかもと想像していたのです。
理由の2つ目は、私の生理不順が28日以上であること。生理不順とはまでは行きませんが、
私の生理周期は平均36~38日です。正常範囲内にはなりますが、一般的に生理が来てから約14日目に排卵されるのですが、生理周期が長いと、排卵する時期が14日以降になります。
人の体は、個人差がありますから、必ずしも妊娠する女性全員が28日周期とは限りませんが、人間の身体の構造上、排卵が14日前後に来ないということは(排卵まで時間がかかる)ということは、卵巣の血液循環があまり良くないということなのです。
私は平均36日~38日であったため、排卵日は生理があってから約18日後になります。排卵に時間がかかっていることが、どうしても気になって、色々と努力はしてみたものの、改善されることはありませんでした。
理由の3つ目は年齢です。結婚したのは38歳ですが、あと数か月で39歳になろうとしている高齢のため、簡単に自然妊娠が出来るとは到底思えませんでした。自然に任せればいつかはできるかもしれないが、39歳というアラフォーという年齢では、一周期も無駄にはしたくなかったのです。
主人は34歳という若さでしたから、私が不妊治療をしたいと話したときは、少し戸惑いを感じたようでしたが、承諾してくれました。しかし、すぐにでも体外受精を希望する私と自然妊娠を希望する主人とでは、不妊治療のスタート時は、少し夫婦の溝があったかもしれません。
不妊治療を始めた際、私はすぐにでも不妊治療センターを卒業する気満々でしたが、現実は、そんなに甘いものではありませんでした。不妊治療をしている間に、同学年の友人が、私より後に結婚したのにもかかわらず、全員が妊娠をしているという報告を受けた時は、正直ショックでした。更にショックだったのは、全員が自然妊娠だったということです。
私は治療をしているのに・・・どうして?39歳なの・・・どうして簡単に自然妊娠ができるの・・・?報告を受けた時は、「おめでとう。元気な赤ちゃんが生まれますように」と
言うだけが、一杯一杯でした。
そして、勝手だとは思っていましたが、妊娠した友人が、グループライン内で、妊娠の症状など(例えば、つわりでしんどい、眠たいなど)先輩ママに聞いてもらいたいことをあげてほしくないとまで思いました。
しかし、それをストレートに伝えては、せっかく妊娠した友人を傷つけることになってしまいます。そこで、私は同じグループ内で、不妊治療している人を知っている友人に、私の現状を話すことにしました。
不妊治療を始めて、数か月経って、人工授精をしたけれど、結果は陰性だったこと。その矢先に、妊娠報告を受けて、正直、快く受け止めてあげれないこと。
勝手だと思いながら、彼女を通して、妊娠した彼女に伝えてもらうことにしたのです。
この時が、私が不妊治療をしていることをカミングアウトした日でした。
頑張っているのに、子どもが出来ない辛さ。これは、当事者にしかわかりません。きっと家族ですら分からないでしょう。また、結婚して当たり前のように子どもが持てた夫婦に、子どもができない夫婦の辛さは、決して理解してもらえないでしょう。しかし、それを「私は不妊治療しているから、他人の妊娠は喜べません」と突っぱねることは、できないのです。突っぱねる人もいるかもしれません。しかし、私はできませんでした。自分が不妊治療をしているからと言って、他人の妊娠を喜べないことは、人としていかがなものかと、
思ったからです。しかし、実際はとても辛かったです。この辛さは、主人に理解してもらうしかありませんでした。
一人の友人に、不妊治療のカミングアウトをしてから、仲の良い友達には、気軽に不妊治療していることを打ち明けることが出来ました。そして、とうとう私の家族にも、打ち明けることが出来ました。しかし、母親と妹は、妊娠るために体外受精をする必要が、どうしてもあるのかと、疑心暗鬼でした。
母親は不妊治療に対して、ある程度の知識はあったものの、自然妊娠で、二人の子どもを出産した妹は、姉の私が一体どういう治療を行っているのか、全く見当もつかなかったと思います。そんな時、TVで不妊治療の現状について、取り上げられていたため、説明するより、見て理解して欲しいと、その番組を見るように言いました。
私の場合、不妊治療のカミングアウトは、家族と友達だけでした。私の仕事は子ども英会話講師であったため、出勤はほとんど夕方からのため、不妊治療のスケジュールに、全く影響がなかったからです。しかし、人によっては、会社や上司にカミングアウトしなければいけないこともあります。体外受精へとステップアップすると、通院する回数が増えるからです。遅刻・早退をするためには、どうしてもカミングアウトが必要になります。
きっと不妊治療をしている治療患者のほとんどは、カミングアウトをしたくないはずです。
私も、正直したくはありませんでした。なぜなら、カミングアウトをすると、「子どもが作れないんだ」と同情されるからです。どんな理由であれ、人から同情されることは、嫌です。ましてや、女性の特権である「妊娠」についてなら、なおさらです。
カミングアウトをすることには、大きな勇気と決断がいります。しかし、カミングアウトされた人達は、いきなり重たくてデリケートな問題をぶつけられて、戸惑ってしまうのも事実でしょう。ですから、不妊治療のカミングアウトについては、慎重にならなければいけません。
自分の上司が年上の女性で、子どもがいない場合は特に気を付けなければいけません。仕事に影響を出してまで、不妊治療をしなければいけないのかと、思う人もいるからです。
妊娠して、子どもを出産するというのが、女性の特権ではありますが、誰しもが必ずその選択を選ぶとは限りません。子どもを持たないという選択をした人、妊娠を希望していたが、妊娠することが出来ず、高齢になってしまい、子どもを諦めてしまった人などは、不妊治療をしながら、仕事を続けることに疑問を持っていることが多いです。
不妊治療に理解がない人たちに、カミングアウトして理解してもらうとは思わないほうがいいと思います。前述したように、不妊治療の辛さや大変さは、不妊治療を経験した人でなければ、理解することが出来ないからです。
どうしても、仕事上、カミングアウトをしなければいけない人は、仕事をカバーしてくれる人に、感謝の気持ちを持ちながら、カミングアウトをすると良いでしょう。「有給を使っているんだから、当然の権利です」という大きな顔をしていると、休んでいるときに業務をカバーしてもらえません。
不妊治療のカミングアウトは、決してマイナスではありませんが、1つ良かったことは、不妊で悩んでいると伝えた友人の1人が、私の妊娠を泣いて喜んでくれたことです。
カミングアウトした時は、同情されたかもしれませんが、良い結果に恵まれますようにと祈ってもらえたのも事実でした。