高齢妊活に関わってくる障害
晩婚化が進むにつれて、妊娠する女性の年齢も高齢化してきました。高齢出産というのは、35歳以上で出産することを言いますが、女性の社会進出が増えてきている今日、35歳以上で出産する人はとても多くなりました。
しかし、高齢での妊娠出産はさまざまな困難とリスクが生じることがあるとご存知ですか?もちろん、母体にも大きな負担がかかるのは当然ですが、生まれてくる赤ちゃんにもリスクが増加します。
例えば、ダウン症の子どもが生まれる確率というのは、高齢になればなるほど高くなります。25歳での出産だと1351人に1人、30歳では909人に1人、40歳では112人に1人というデータもあります。ダウン症は、染色体異常のある子どものことを言いますが、染色体異常の原因の1つに卵子や精子の老化です。
とはいえ、そんなリスクがあるから、妊娠・出産をすることをあきらめるという女性はあまりいません。自分がもし妊娠したら、障害のある子どもが生まれてくるかもしれないと思いながら、妊娠を夢見る女性はいないからです。そして、できるのであれば、自然妊娠を望むことでしょう。排卵日を予測し、タイミングを取って、生理が予定日にこなければ妊娠成立。そして、素敵なマタニティライフを送り、無事に出産。という青写真を描くはずです。
しかし、高齢になればなるほど、自然妊娠の確率は下がっていきます。健康な男女のカップルが1年間避妊をせずに性行為を行った場合、20代前半は約85%の確率で妊娠することが出来ます。
20代後半は約80%、35歳以降になると約50%、40歳前半で約30%、45歳後半以降は5%以下です。原因は、卵子の老化です。特に35歳を過ぎると、急激に卵子が老化し始めると言われ、妊娠が難しくなるのです。
高齢(35歳以上)でも、自然妊娠を望む場合は、妊娠しやすい体質にしていかなければいけません。ただでさえ、身体が自然妊娠しにくい状態になっているので、自分の身体ときちんと向き合って体質改善をしていきましょう。
私の場合、最初の人工授精をした際、主人の精子に問題があったため、不妊治療センターの担当医師から、自然妊娠は難しいと言われたので、挑戦する気は全くありませんでした。
自然妊娠にこだわらなくても、妊娠する方法はあります。それでも高齢であれば、若い人よりも妊娠する確率は下がってしまいます。ですから、高齢で妊娠を望む人は、自然妊娠であろうと、人工授精、体外受精であろうと、妊娠しやすい体質になるように努力しなければいけないのです。
では、高齢妊活で実践すべきことはなんでしょうか。食事、運動、禁煙、お酒は控える、など、色々ありますが、忘れてはいけないのは、妊娠というものは、「〇〇をしたから、妊娠できる」という特効薬みたいなものは、絶対にありません。
しかし、健康な体作りは、妊娠するためだけのものではなく、妊娠した後にも大切なことですし、何より自分の体が健康になることは良いことで、損にはならないので、参考にしてみてください。
早寝早起き
生活習慣を整えるために、とても大切なのは睡眠です。睡眠不足になると、ホルモンバランスが崩れるため、質の良い睡眠をとるように心がけましょう。できれば、夜は23時までに就寝し、朝は6時ごろに起きるようにしましょう。
食生活
日ごろの食生活は、妊活に大きく影響します。添加物が多く入っている加工食品を摂取することは控えましょう。血行促進を促してくれる「ビタミンE」、女性ホルモンのエストロゲン作用を補ってくれる「大豆イソフラボン」や「ビタミンB6」を含む食材を多く摂取しましょう。
冷え性改善
女性は冷え性の人が多いです。冷え性になると、血行が悪くなり、臓器へ栄養や酸素が十分に行き渡らなくなります。子宮もその一つです。子宮の働きが悪くなると、女性ホルモンが上手に分泌されず、卵巣機能が低下してしまい、卵子の発育悪化や着床障害を引き起こしてしまいます。
自分のお腹やお尻を触ってみてください。冷たくはありませんか?冷たい場合は、子宮が冷えている可能性があります。早急に冷え性を改善することをおすすめします。
高齢で妊娠できないことはありませんが、確率は下がります。母体にも生れてくる子どもにも負担がかかるリスクが高くなります。ただ、それは確率の問題であって、高齢で妊娠・出産した人が、必ずしもリスクを抱えるとは限りません。
実際、私は40歳で妊娠し、41歳で出産しましたが、妊娠中も全く問題はありませんでしたし、生まれてきた娘にも、何の障害もなく元気に生まれてきてくれました。ですから、高齢で妊活を行っている人は、何も恐れず、今、できることに努力して欲しいと思います。
また高齢妊活を行う際は夫婦でよく話し合う必要があります。なぜなら、妊活には、パートナーの協力が必要だからです。生活習慣の見直しや食生活改善、きちんとパートナーと話し合い進めていかなければ、どこかで夫婦の妊活に対する考え方に温度差が出来てしまうからです。
女性は、「子どもが欲しいから頑張っている」「妊娠したい」という気持ちが強ければ強いほど、子どもが出来ないとストレスが貯まります。妊娠は女性がするものですから、妊活は女性が頑張るものだという傾向がありますが、実はそうではありません。パートナーの男性も一緒に協力して行わなければ、妊活は進んでいかないからです。
また高齢妊活には、サプリメント必要不可欠です。生活習慣や日ごろの食事の改善に加え、サプリメントは食事だけで補えない不足しがちな栄養を手軽に補うことができます。
妊娠前から必要とされる「葉酸」は厚生労働省も摂取することを推奨しています。いつ妊娠してもいいように、妊活中から、葉酸を摂取するようにしましょう。
漢方も効果的です。漢方は即効性はありませんが、体への負担も少なく規則正しい食生活やサプリメントと併用して使用していくことで、大きな効果を発揮します。
高齢妊活は、若い人に妊活に比べて、時間とお金、そして時にはストレスがついて回ることがあります。そのストレスとは、「こんなに頑張っているのに、妊娠できない」というストレスです。ちょっとした空き時間に「妊娠する方法」「妊娠するためには」など、どうやったら、妊娠できるのかと、常に頭の中は「妊娠」で一杯になりがちですが、実は妊活で一番の大敵はストレスなのです。
ストレスを感じると、脳にある視床下部がストレスに敏感に反応し、生殖ホルモンの分泌を抑制してしまうと言われています。生殖ホルモンの分泌が滞ってしまうと、ホルモンバランスが崩れ、生理周期が乱れたり、排卵機能の低下につながってしまいます。
せっかく、生活習慣に改善や食生活に気を付けているのに、ストレスを貯めてしまっては、元も子もありません。できるだけストレスを貯めないで、自分なりの発散方法を知っておくようにしましょう。
私の場合、主人と「妊娠したらできなくなってしまうこと」をたくさんやりました。
例えば、川下りや遊園地でジェットコースターに乗りまくる。子どもがいたら、おそらく行けないだろうという、お洒落なレストランに行ってみる。色々リストをあげて、楽しむことにしました。常に行うのではなく、体外受精の結果が陰性であったとき、次に向かって、再チャレンジしよう!と妊娠できなかったことを忘れるために、楽しみました。
高齢妊活は、忍耐のチャレンジの連続ともいえるでしょう。最近では、芸能人でも高齢で妊娠している人が大勢います。不可能ではないので、日ごろからパートナーと妊活を楽しむつもりで、仲良く行っていくことが大切です。